近年、色々なメディアで水素水に接する機会も増えてきました。
商品も、アルミ容器に入ったもの、スティックを水に入れて水素水をつくるものから、
水素水サーバー、電解水素水など、色々な商品が市販されています。
テレビでは、有名タレントが利用しているという声も聞かれます。
ところで、水素水はいつ頃から商品として市場に登場したのでしょうか?
現在のようにメディアへの露出機会が増え、商品も多様化したのは
2007年に「ネイチャー・メディシン」に発表された、水素の生理作用に関する論文が市場に影響を与えたといっても過言ではないでしょう。
それ以降、水素水の研究に取り組む研究者も増え、その成果が学術誌に発表される機会も増えたことで、市場の信頼を得ることにつながったと考えられます。
それ以前の水素水市場はというと・・・
記憶を今から約15年前の2001年までさかのぼると、
水素水商品といえば、電解水素水以外にはマグネシウムなどが入ったスティックを水に入れてつくるものが多かったように思います。
現在は、アルミ容器に入って売られている水素水商品もたくさんありますが、
その当時はほとんど商品としては見かけることはありませんでした。
水素は拡散しやすい為、ペットボトル入り商品では品質を維持することが困難であることも一因かもしれませんが、まだ市場の関心と信頼を得るまでには至らず、参入する企業も少なかったとも考えられます。
電解水素水は、水素スティックよりもさらに古くからあります。
ただし、その名称においては当初、「還元水」と呼ばれており、
後に電解水素水という名称に改められたという経緯があります。
「電解還元水」は、還元性といった水のもつ性質、特徴に着目した名称で、
「電解水素水」は、還元性に関与する物質(水素)に着目した名称という解釈ですが、これら2つは同じものです。
さて、電解水素水においても、多くの研究が行われていますが、
その効果が、水素の抗酸化性によるものであることを報告した学術論文は、
1997年の「BBRC」に発表されたものが最初と思われます(当時は還元水)。
前出の「ネイチャー・メディシン」より、さらに10年も前のことです。
同論文は、同じ水素でも分子水素ではなく活性水素(原子水素)に言及し、物議を醸しました。
しかし、飲用電解水の効果が抗酸化作用によるものとする説はさらに古く、
1995年出版の書籍「抗酸化水が健康長寿を実現する」には、台湾大学との共同研究により、電解還元水がH(水素)を豊富に含み活性酸素種を消去する、ことを明らかにしたと記されています。
著者は、1985年から電解水の研究に着手し、神戸市の協和病院での数千に及ぶ臨床観察例に基づき、後に電解還元水の効果において「水制御学説」を提唱しています。
また、同著者は1992年出版の「人はなぜ病気になるのか、そしてなぜ水で病気が治るのか」の中で、電解した陰極水を称するに、「電解還元水」あるいは「還元水」という名称を使用する、と記しています。
水が病を癒すという大胆な主張は、活性酸素を消去する水の機能にあるとした仮説ですが、その後の研究者にも少なからず影響を与えていると考えます。
1992年当時、水への関心といえば、その多くは体に悪いものが溶け込んでいないこと、つまり、キレイであり安全であることだったと思います。
これに対し、水が機能をもち抗酸化性がある、とする提言に耳を傾ける人はどれほどいたのでしょうか。
これまでの研究成果の蓄積は、水を評価するうえで新たな基準が必要になっていることを示唆しており、現在の学会発表にみる研究テーマの多くがそれを促しているように思えます。
電解水は古くからありますが、その効果を科学的に解明しようとするなかで抗酸化性に関心が寄せられていたことは、1992年以降の文献から察することができます。
電解水素水(還元水)としての歩みは、この頃から始まったのではないでしょうか。
本文は学術的立証に基づく見解で、電解水素水(整水器)の抗酸化効果、及び具体的な疾患に対する効果としてこれを保証、証明するものではありません。
<参考文献>
・「水素は細胞傷害性酸素ラジカルを選択的に還元することで治療に有効な抗酸化剤として作用する」 2007年ネイチャー・メディシン(日本医科大)
・「電解還元水は活性酸素種を消去しDNAを酸化障害から護る」1997年5月BBRC(九州大)
・「抗酸化水が健康長寿を実現する」実業之日本社(林秀光著)
・「人はなぜ病気になるのか、そしてなぜ水で治るのか」KKロングセラーズ(林秀光著)
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